政府、NEXI通じて貿易保険適用
日本政府が独立行政法人の日本貿易保険(NEXI)を通じ、三井住友銀行とブラジルのアマーギ間での融資契約へ貿易保険を適用することが23日、明らかとなった。NEXIが海外の農業融資に貿易保険を適用するのは今回が初となる。
安倍晋三首相は8月1日にブラジルのルセフ大統領と会談し、同国に対する農業支援を表明する予定。本件も同支援内容に盛り込まれるものとみられる。
NEXI、三井住友銀とアマーギ間の融資契約支援
アマーギは穀物の生産がら輸出までを手がけるブラジルの穀物大手。同社は、大豆やトウモロコシを全国農業協同組合連合会(JA全農)や丸紅などへ向け輸出している。同社と三井住友銀行との融資契約は6年間で、融資資金は機材購入などの運転資金や、物流の整備にあてられる。
NEXIではこの融資契約に際して貿易保険を提供し、自然災害等で収益が上がらず返済が滞った場合など、各種リスクにともなう損失を補償する。
リスク高い穀物取引 政府の狙いは
長期の安定した供給が保証されるエネルギー資源などの場合と異なり、天候に左右される穀物資源の取引は長期融資との相性が悪いとされてきた。また、近年穀物生産を伸ばすブラジルでは中国向けの輸出も増加しており、穀物資源の争奪戦による価格の高騰も懸念材料の1つだ。
今回三井住友銀行側でも、融資条件に緊急時における日本向け輸出量の安定化を盛り込むなど、万が一の場合に備えリスク対策を施している。政府としては、ここにNEXIの貿易保険を適用することで融資契約を後押しするとともに、日本の食糧面における安全保障を強化する狙いがあるとみられる。

独立行政法人 日本貿易保険
http://www.nexi.go.jp/