環境に配慮してパタゴニア地区、ダム建設を中止
チリ政府は、8年間、環境保護活動家と、ダム建設業者の間で論争を繰り返してきたダム建設の問題に答えを出した。
パタゴニア地区を流れるベーカー川とパスクア川に5つのダムを建設する計画だったが、環境保護団体の強い反対に遭い、建設を中止した。
(画像イメージはWikipediaより ベーカー川)
ダム建設が反対された主な理由
チリ政府委員会は、すでに環境許可を出していたハイドロアイセン計画(ダム建設プロジェクト名)を撤廃した。
大きな理由は、水力発電を生み出すために、5900ヘクタールもの土地が浸水してしまうことになるからだ。パタゴニアは、様々な野生種が存続する環境の宝である。その環境を壊すような危険を冒すわけにはいかないと、多くの人たちがこのプロジェクトに反対した。
政府の決定は、ダム周辺の環境問題を考慮しただけでなく、建設に伴い、影響を受ける人々の意見も聞き入れられたという大変意味のある決定であった。
水力発電に代わるエネルギー
ダムが建設されれば、2750メガワットの電力を有する予定であった。これは、国内電力消費量の20%から30%にあたる。
水力発電の代替えエネルギーとして、現在、政府は、液体天然ガスを輸入する計画をしている。そのためのターミナルを建設する予定だ。
さらに政府は、再生可能エネルギーによる電力を2025年までに20%増やし、電力消費量は、20%の削減を目標にすることを発表した。
現在、政府は、ビルや砂漠に太陽光発電を設置することを推奨している。今後は、沢山の活火山を利用した地熱発電、海岸沖の波を利用した発電などの可能性も視野に入れている。

The Santiago Times
http://santiagotimes.cl/NATIONAL GEOGRAPHIC
http://news.nationalgeographic.com/