チリで法人税引き上げへ、社会政策の財源確保目指す
南米のチリで今月1日、先月11日に可決された税制改革法が施行された。改革の目玉は段階的な法人税の引き上げで、増税分は国内の教育等社会政策に充てられる方針だ。
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by Stuart Miles)
法人税を段階的に7%引き上げ
チリでは現在2期目を務めるバチェレ大統領の元、中道左派の政権が実権を握る。同政権では今年度より、教育や福祉、医療分野の拡充を目的とした税制改革に着手。財界等との数カ月にわたる調整を経て、先月法制化にこぎつけた。
法律ではチリ国内の大企業を中心とした法人税の増税を定めており、それら企業の税率は2018年までに、現在の20%から最終的に27%まで引き上げられる。また同法では、酒類やタバコ、清涼飲料水に対する税率の引き上げも合わせて行われている。
景気対策とのバランスは? 政権の手腕問われる
今回の増税で得られる税収はおよそ83億ドル超にのぼるとみられ、うち半分が初等教育から大学教育に至るまでの無償化に充てられる他、残りは病院建設や福祉施設の運営に用いられる予定だ。バチェレ大統領は今回の税制改革について、チリにおける今後の発展へ向けた大きな一歩だとの認識を示している。
一方で同国内では投資の落ち込みと内需の冷え込みにより景気が低迷しており、今回の増税がマイナス要因となる可能性も否定できない。政権は今後、経済の立て直しと教育・福祉の拡充という2つのバランスをうまく保つ必要に迫られそうだ。

チリ共和国政府
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